「を」格ゼロマーク化と中間言語:中国語母語話者の場合

松田 謙次郎


本論文では、現在進行中の中間言語プロジェクト第2次報告として、中国 語母語話者による日本語発話に見られる「を」格ゼロマーク化の変異分析 の結果を報告する。松田 (2001)で行った韓国語母語話者の分析手法をそ のまま採用し、KYコーパスの中国語母語話者の部分から学生の発話のみを 採取し分析した結果、名詞句と動詞の隣接性、名詞句形式差、名詞句の人 間性、そして被験者日本語習熟度レベルのうち、習熟度レベルがW型の分 布を示して、唯一ゼロマーク化率と有意な相関を示し、名詞句形式差は有 意な傾向を示すに止まった。しかしながら習熟度レベル別に名詞句形式差 を検討すると、それぞれのレベルにおいて似通った分布が見られ、特にゼ ロマーク化率に関する語彙名詞 > 代名詞という序列には変化がなかっ た。この事実は松田 (2001)で提示した名詞句形式差制約の普遍性のサポー トと考えることができる。また、習熟度レベルのW型分布には、適応・学 習過程一般でも似たような仮定が見られることから、独立的な説明が可能 であると思われる。

 
英文要約
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